「疲れてる?」と言われる回数が増えた、コンシーラーを重ねてもクマが隠しきれない、写真の自分の目の下に影が写る。こうした悩みで検索してたどり着くのが、目の下の脱脂という施術です。
目の下の脱脂(経結膜脱脂法)は、まぶたの裏側から目の下のふくらみの原因になっている眼窩脂肪を取り除く手術です。皮膚を切らないため外から見える傷が残らず、「切らないクマ取り」と呼ばれることもあります。
ただし、すべてのクマに効くわけではありません。脱脂で変わるのは「ふくらみによって落ちる影」であって、色素沈着や血行によるクマは対象外です。この記事では費用・ダウンタイム・期待できる変化と、脱脂では対応できない範囲まで正直に整理します。効果には個人差があり、適応の判断は医師の診察によります。

目の下の脱脂とは?仕組みを理解する
目の周りには眼球を支えるクッションの役割をする眼窩脂肪があります。加齢などで脂肪を押さえている膜が緩むと、脂肪が前に押し出されて目の下がふくらみます。このふくらみが影をつくり、黒っぽいクマとして見えるのです。
経結膜脱脂法では、下まぶたの裏側(結膜)を数ミリ切開し、そこから突出している脂肪を適量取り除きます。皮膚側にメスを入れないため、外から見える傷が残りにくいのが大きな特徴です。
自分のクマのタイプを確認する
| タイプ | 原因 | 脱脂で変わるか |
|---|---|---|
| 黒クマ(影クマ) | 眼窩脂肪の突出による影 | 期待できる |
| 青クマ | 血行不良で血管が透けて見える | 対象外 |
| 茶クマ | 色素沈着・摩擦による着色 | 対象外 |
簡単な見分け方として、上を向いて鏡を見たときにクマが薄くなるなら影クマの可能性が高いとされています。皮膚を軽く引っ張って色が変わらなければ茶クマ、薄くなれば青クマの要素があるという見方もあります。ただしこれはあくまで自己確認の目安で、実際には複数のタイプが混ざっていることがほとんどです。正確な判断は診察を受けてください。
自己確認をするときは、明るい場所で使える拡大鏡つきの手鏡があると細かな影まで見やすくなります。
費用の相場
経結膜脱脂法の費用は、記事執筆時点で公開されている情報を見ると、20万〜40万円程度を提示するクリニックが多く、安いところで10万円台、高いところでは50万円前後という幅があります。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 経結膜脱脂法(両目) | 20万〜40万円が中心。10万円台〜50万円程度の幅 |
| 静脈麻酔(希望する場合) | 別料金のことが多い |
| 脂肪注入の併用 | 別途10万〜30万円程度 |
| 術後の内服薬・診察 | 含まれる場合と別料金の場合がある |
価格差が3倍以上あるため、表示価格だけで比較するのは危険です。次の点を見積書で必ず確認してください。
- 麻酔代が含まれるか(局所麻酔のみか、静脈麻酔を選べるか)
- 術後の内服薬・診察料が含まれるか
- 取り残しや取りすぎがあった場合の修正の条件と期間
- 脂肪注入を併用する場合の総額
なお、目の下の脱脂は美容目的の施術であるため、健康保険は適用されず自由診療です。

ダウンタイムの経過
「切らないから軽い」と言われますが、手術であることに変わりはありません。注射のみの施術に比べれば、腫れと内出血はしっかり出ると考えておいてください。
| 時期 | 状態 |
|---|---|
| 当日 | 麻酔が切れると鈍い痛み。腫れ始める |
| 2〜3日目 | 腫れのピーク。内出血が出る方もいる |
| 1週間 | 大きな腫れは引いてくる |
| 1〜2週間 | 内出血が消退。日常生活に支障が出にくい状態へ |
| 1か月 | むくみが取れて形が見えてくる |
| 2〜3か月 | 完成形として評価できる時期 |
内出血は全員に出るわけではなく、3〜4割程度の方に現れるという説明をしているクリニックもあります。出た場合は翌日からベースメイクでカバーできることが多いものの、完全に消えるまでには1〜2週間かかります。
術後にあると助かるもの
術後数日は視界がぼんやりし、外出が億劫になります。施術前に買いそろえておくと、当日から数日がぐっとラクになります。
- ジェルタイプのアイマスク(冷蔵庫で冷やして使うタイプ):医師の指示に従って冷却する際に、押しつけずに乗せられます
- 小さめの保冷剤と薄手のタオル・ガーゼハンカチ:保冷剤を直接当てるのは避けるため、包む布が必要です
- 就寝時に頭を高く保てる枕・クッション:腫れを軽くする助けになります
- カバー力のあるコンシーラー:内出血が出た場合の数日をしのげます
- 紫外線カット率の高いサングラス、つばの広い帽子:外出時に目元を隠しつつ紫外線も防げます
- レトルトのおかゆやスープ、冷凍食品:術後数日は買い物や調理が面倒になるため、買い置きが役立ちます
ダウンタイム中に控えること
- 飲酒(1週間程度)
- 長時間の入浴・サウナ・激しい運動(1〜2週間)
- 目をこする・強く押す(1か月以上)
- コンタクトレンズ(クリニックの指示に従う)
- アイメイク(許可が出るまで)
脱脂の限界と、知っておきたいリスク
ここが最も重要な部分です。脱脂は万能な施術ではなく、向いていない状態の人が受けると、かえって印象が悪くなる可能性があります。
- くぼみが目立つ:脂肪を取りすぎると、目の下がへこんで見え、逆に疲れた印象が強まることがあります
- 皮膚のたるみは残る:脂肪を減らしても皮膚の余りは解消されないため、しわが目立つ場合があります
- 左右差:もともとの脂肪量に差があり、術後に非対称を感じることがあります
- 取り残し・取りすぎ:どちらも修正が必要になる場合があります
- 内出血・腫れ・むくみ:一定の割合で発生します
- 感染・血腫:まれですが、強い痛みや熱感があれば受診が必要です
- 色素沈着:内出血のあとに色が残ることがあります
皮膚のたるみが強い場合
皮膚のたるみが主体の方が脱脂だけを受けると、支えていた脂肪がなくなることでたるみが強調されて見える可能性があります。この場合は脂肪を取り除くのではなく、位置を移動させて凹みを埋める術式(ハムラ法・裏ハムラ法)や、皮膚を切除する術式が検討されます。
脂肪注入との併用
脱脂だけではくぼみが残りそうな場合、脂肪注入やヒアルロン酸注入を組み合わせる提案がされることがあります。総額は上がりますが、目の下の凹凸を平らに整えるという観点では有効な選択肢とされています。何が必要かは診察でしか判断できません。


クリニック選びのチェックポイント
- クマのタイプを診断してくれるか:影クマ以外の要素がある場合、それを説明してくれるか
- 脱脂以外の選択肢も提示するか:ハムラ法や皮膚切除、注入との併用まで話ができるか
- 「向いていない」と言えるか:適応でない場合にきちんと断ってくれる医師は信頼できます
- 執刀医が誰か:カウンセリング担当と執刀医が同じか
- 修正の条件:取り残しや取りすぎの場合の対応と期間が明記されているか
- 見積書が出るか:総額が書面で確認できるか
施術の一般的な情報は日本美容外科学会(JSAPS)や日本形成外科学会のサイトで確認できます。契約や解約でトラブルになった場合は国民生活センターが相談窓口です。その日のうちに契約を求められた場合は、いったん持ち帰るのが安全な判断です。
よくある質問
Q. 傷跡は残りますか?
A. 経結膜脱脂法はまぶたの裏側から行うため、皮膚を切開せず、外から見える位置に傷をつけません。結膜側の傷は自然にふさがるため、抜糸が不要な場合が多いのも特徴です。ただし傷の治り方には個人差があり、経過については担当医の説明を確認してください。
Q. 効果はどのくらい続きますか?
A. 取り除いた脂肪自体が再び増えることは基本的にないとされています。ただし加齢による皮膚のたるみは進んでいくため、長期的には目元の印象が変化していきます。「一生変わらない」というものではないと理解しておいてください。
Q. 何日休みが必要ですか?
A. 腫れのピークである2〜3日を含めて、3日から1週間程度の休みが取れると安心です。内出血が出た場合はメイクでカバーする方が多いですが、人と近距離で接する仕事の場合は1週間以上の余裕を見ておくとよいでしょう。
通勤や外出の際は、大きめのサングラスがあると目元が目立ちにくくなります。
Q. 若くても受けられますか?
A. 眼窩脂肪の突出は加齢だけでなく生まれつきの骨格や脂肪量にも左右されるため、若い方でも適応になる場合があります。ただし若い方は皮膚の弾力があるぶん、脱脂単独で対応できるかどうかの判断が変わることもあります。
Q. 完成はいつごろですか?
A. むくみが取れて形が落ち着くまで2〜3か月が目安とされています。術後1か月の時点ではまだ変化の途中なので、この段階で「効果がない」と判断するのは早すぎます。
Q. 脱脂とヒアルロン酸注入、どちらを先に考えるべきですか?
A. ふくらみが原因の影クマなら脱脂、凹みが原因の影なら注入という切り分けが基本の考え方です。ただし両方の要素が混ざっている場合が多く、順番や組み合わせは診察のうえで医師が判断します。
Q. 失敗したらやり直せますか?
A. 取り残しであれば追加の処置が可能な場合があります。一方で取りすぎてしまった場合は、脂肪注入などで埋め戻す必要があり、対応が難しくなります。だからこそ、慎重に量を判断してくれる医師を選ぶことが重要です。
まとめ
- 経結膜脱脂法は、まぶたの裏から眼窩脂肪を取り除く手術。外から見える傷は残らない
- 変化が期待できるのはふくらみが影をつくっている黒クマ。青クマ・茶クマは対象外
- 費用は20万〜40万円が中心で、10万円台〜50万円程度の幅がある
- 腫れのピークは2〜3日、日常生活は1〜2週間、完成は2〜3か月
- 取りすぎるとくぼみが目立ち、皮膚のたるみが強い方はたるみが強調される場合がある
- 健康保険は使えず、全額自己負担の自由診療
目の下は表情の疲れが最も出やすい場所であり、変化を実感しやすい部位でもあります。ただし自分のクマの原因が何かによって、選ぶべき施術はまったく変わります。まずは複数のクリニックで診察を受け、なぜその術式を勧めるのかを説明してもらったうえで判断してください。


