「怒ってないのに機嫌が悪そうと言われる」「真顔のときに口角が下がって見える」。年齢とともに口元の印象が変わってきたと感じて、口角挙上を調べ始める方は少なくありません。
口角挙上は、下がった口角の位置を引き上げて口元の印象を整える施術です。メスを使う手術とボツリヌストキシン注射(口角ボトックス)とでは、効果の出方も持続期間も費用もまったく違います。
この記事では、口角挙上の費用相場・期待できる変化・ダウンタイム・リスクを整理し、切開法と注射のどちらを検討すべきかを判断できるようにまとめました。効果の感じ方には個人差があり、実際に受けられるかどうかは医師の診察で判断されます。

口角挙上とは?施術の仕組み
口角挙上(口角リフト、リップリフトと呼ばれることもあります)は、口角の位置を上向きに変える施術の総称です。大きく次の2つの方向性があります。
| 種類 | やること | 持続 |
|---|---|---|
| 外側法(皮膚切開) | 口角の外側で余分な皮膚を切除して縫合し、口角を引き上げる | 継続的 |
| 口腔内法(口内法) | 唇の内側からアプローチし、外から見える傷を残さずに口角を引き上げる | 継続的 |
| 口角ボトックス | 口角を下に引く筋肉(口角下制筋)の働きを抑えて、相対的に口角が上がりやすい状態にする | 数か月程度 |
手術系の2つは組織そのものを変えるため、変化が続きやすいのが特徴です。口角ボトックスは筋肉の働きに作用するもので、時間の経過とともに元の状態に戻っていきます。
外側法と口腔内法、どちらを選ぶか
選択は「どれだけ引き上げたいか」と「傷をどこまで許容できるか」のバランスで決まります。
- 外側法:しっかり引き上げたい方向け。口角の延長線上に傷が残りますが、変化量を出しやすい術式です
- 口腔内法:外から見える傷を残したくない方向け。ただし変化量は外側法よりおとなしめになることが多いとされています
どちらが適しているかは、口角の下がり方・皮膚のたるみ・口輪筋の状態によって変わります。カウンセリングで両方の見え方を確認しましょう。
カウンセリングの前に、真顔と笑顔のときの口角の位置を明るい鏡で確かめておくと、気になる点を医師に伝えやすくなります。
口角挙上の費用相場
費用はクリニックによって幅がありますが、記事執筆時点で公開されている情報を見ると、おおよそ次のような価格帯に分かれています。
| 施術 | 費用の目安 |
|---|---|
| 口角挙上術(外側法・口腔内法) | 20万〜50万円程度と幅が広い |
| 中心的な価格帯 | 28万〜40万円前後 |
| 口角ボトックス | 1回あたり3,000円〜5万円程度(製剤による) |
同じ「口角挙上」という名前でも、価格差が3倍以上になることは珍しくありません。安い設定のクリニックが必ずしも問題というわけではありませんが、次の点が総額に含まれるかどうかで実質的な負担は変わります。
- 麻酔代(局所麻酔・静脈麻酔で別料金になることがある)
- 術後の内服薬・外用薬
- 抜糸の費用
- 術後の診察・経過観察
- 修正が必要になった場合の保証の範囲と期間
また、口角挙上は美容目的の施術であるため、健康保険は適用されず自由診療となります。価格はクリニックが自由に設定できる仕組みなので、必ず見積書で総額を確認してください。
もらった見積書はクリアファイルにまとめておくと、複数のクリニックを比べるときに項目を見比べやすくなります。

口角挙上のダウンタイム
口元は食事・会話・表情のすべてに関わる部位です。まぶたの施術に比べると日常生活への影響が大きいと考えておいたほうがよいでしょう。
手術(外側法・口腔内法)のダウンタイム
| 時期 | 状態 |
|---|---|
| 当日〜3日 | 腫れと痛みのピーク。口を大きく開けにくい |
| 5〜7日 | 抜糸(術式による)。腫れは徐々に軽減 |
| 2週間 | 大きな腫れは落ち着くが、傷の赤みは残る |
| 1か月 | 口角のつっぱり感・動かしにくさを感じることがある |
| 3〜6か月 | 傷の赤みが薄茶色から白っぽく変化していく |
| 6か月〜1年 | 仕上がりが安定してくる時期 |
とくに知っておきたいのが、術後1か月ほどは口角のつっぱりや動かしにくさが続くことがあるという点です。これは異常ではなく、時間とともに落ち着いていくのが一般的とされています。ただし気になる場合は自己判断せず、経過診察で相談してください。
口角ボトックスのダウンタイム
注射のみのため、ダウンタイムはほとんどないとされ、内出血が出ても数日〜1週間程度で目立たなくなることが多い施術です。効果の出方は数日から2週間かけて徐々に現れ、数か月で薄れていきます。
ダウンタイム中に困ること
術後しばらくは、口を大きく開けられない・熱いものや刺激物がしみるといった不便が出ます。特に口腔内法は傷が口の中にあるため、食事と口腔ケアが想像以上に大変です。
- ストロー:口を開けずに水分が取れるので、術後数日の必需品です
- レトルトのおかゆ・スープ類、ゼリー飲料:噛む力を使わずに食事を済ませられます
- ノンアルコールタイプのマウスウォッシュ:口腔内法では歯磨きがしづらいため、刺激の少ないタイプが役立ちます
- やわらかい毛の歯ブラシ、ヘッドの小さい歯ブラシ:傷口を避けて磨くのに向いています
- 白色ワセリン:唇や口角の乾燥対策として、医師の許可が出た範囲で使われることがあります
- 紫外線カット効果のあるリップクリーム:傷跡の色素沈着対策として、抜糸後のケアに使われます

リスク・副作用として知っておきたいこと
口角挙上は顔の中心に近い部位を扱う施術です。カウンセリングでは、期待できる変化だけでなく、次のようなリスクの説明を受けたうえで判断してください。
- 傷跡:外側法では口角の外側に傷が残ります。体質によっては赤みや盛り上がりが長引くことがあります
- 左右差:もともと顔には左右差があり、術後に差が目立つと感じる場合があります
- 引き上げすぎ・引き上げ不足:デザインが希望と合わないと修正が必要になります
- 後戻り:時間の経過とともに変化が緩やかになる場合があります
- 感染・血腫:口の中は細菌が多い環境のため、口腔内法では特に術後の清潔管理が重要です
- 知覚の変化:一時的に口角周辺の感覚が鈍くなることがあります
口角ボトックス特有の注意点
口角周辺には表情に関わる筋肉が密集しています。注入する筋肉や量がずれると、片側だけ上がって見えたり、笑ったときの表情が作りにくくなったりすることがあると報告されています。上唇の形が変わって見える、口角に丸みが出るといった変化を感じるケースもあります。
効果は数か月で薄れるため、望まない仕上がりになった場合も時間の経過で戻るという見方はできます。ただしその間は表情への影響が続くため、解剖に精通した医師に施術してもらうことが重要です。また、国内で承認されているボツリヌス毒素製剤の効能・効果に口角の引き上げは含まれておらず、口角への注射は承認された範囲外の使用にあたります。国内未承認の製剤を医師の個人輸入で使用しているクリニックもあるため、使う製剤とその承認状況は施術前に確認しておきましょう。施術に関する一般的な情報は日本美容外科学会(JSAPS)や日本形成外科学会のサイトが参考になります。
切開とボトックス、どちらを選ぶか
| 比較項目 | 手術(外側法・口腔内法) | 口角ボトックス |
|---|---|---|
| 変化の大きさ | 出しやすい | 穏やか |
| 持続 | 継続的 | 数か月程度 |
| ダウンタイム | 2週間〜1か月 | ほとんどなし |
| 傷跡 | 外側法は残る/口腔内法は外から見えない | なし |
| 費用 | 1回で高額 | 1回は安いが繰り返し必要 |
| やり直しやすさ | 難しい | 時間経過で元に戻る |
迷っている方は、まず口角ボトックスで印象の変化を体感してから手術を検討するという順序が取りやすい選択肢です。数か月で戻るという性質は、お試しとして考えると利点になります。実際、後戻り対策として手術前後にボツリヌストキシンを併用する方法が取られることもあります。
クリニックを選ぶときに確認したいこと
- 執刀する医師が誰か(カウンセリング担当と別になっていないか)
- 術式ごとのメリットとリスクの両方を説明してくれるか
- デザインをその場で一緒に確認できるか
- 見積書に総額が書かれているか
- 修正・再手術の条件と期間が明記されているか
- 術後のトラブル時に連絡できる体制があるか
その日のうちに契約を迫られる場合は、いったん持ち帰るのが安全です。美容医療の契約や解約に関するトラブルは相談件数も多く、国民生活センターが注意喚起を行っています。契約書とクーリング・オフの条件は、署名の前に必ず読んでください。

よくある質問
Q. 口角挙上の傷跡は目立ちますか?
A. 外側法では口角の延長線上に傷が残ります。術後しばらくは赤みがありますが、数か月かけて薄茶色から白っぽい色に変化していくのが一般的な経過とされています。ただし傷の治り方には体質差があり、赤みや盛り上がりが長引く方もいます。外から見える傷を避けたい場合は口腔内法が選択肢になります。
Q. 仕事はどれくらい休む必要がありますか?
A. 手術の場合、腫れのピークである3日間程度は休みを取れると安心です。抜糸までの1週間はマスクで隠す方が多いですが、口元は会話で動くため、接客や人前で話す職種は1〜2週間の余裕を見ておくとよいでしょう。口角ボトックスであれば当日から通常の生活に戻れることがほとんどです。
口元をしっかり覆える大きめのマスクを用意しておくと、抜糸までの外出や通勤で過ごしやすくなります。
Q. 完成までどのくらいかかりますか?
A. 手術の場合、おおむね6か月から1年で仕上がりが安定してくるとされています。術後1〜2か月の時点ではまだむくみやつっぱりが残っているため、この段階で最終的な評価をするのは早すぎます。
Q. 口角ボトックスはどのくらいの頻度で打ちますか?
A. 効果が続く期間には個人差がありますが、数か月程度で徐々に薄れていくため、継続したい場合は定期的な施術が必要になります。打つ頻度や間隔は医師と相談して決めてください。
Q. 保険は使えますか?
A. 見た目の印象を変えることを目的とした口角挙上は美容目的にあたるため、健康保険は適用されません。全額自己負担の自由診療となります。
Q. マスク生活のうちに受けるのはありですか?
A. 口元は隠しやすい部位なので、その意味では回復期間を過ごしやすいという見方はできます。ただし術後は口の動かしにくさや食事の制限があるため、隠せるかどうかだけでなく、仕事や予定の落ち着いている時期を選ぶことをおすすめします。
Q. 他の施術と同時に受けられますか?
A. 口元の施術と組み合わせるケースはありますが、同時に行うと腫れが重なってダウンタイムが長引く場合があります。何をどの順番で行うのが適切かは、顔全体のバランスを見て医師が判断する領域です。
まとめ
口角挙上について、判断材料になるポイントをまとめます。
- 手術は外側法と口腔内法があり、変化量と傷跡でトレードオフがある
- 費用は20万〜50万円程度と幅が広く、総額と保証の範囲を見積書で確認することが重要
- ダウンタイムは腫れが2週間、つっぱり感が1か月、完成は6か月〜1年が目安
- 口角ボトックスはダウンタイムが軽く数か月で戻るため、試しやすい
- 左右差・引き上げすぎ・後戻りといったリスクの説明を必ず受ける
- 健康保険は使えず、全額自己負担の自由診療
口元は表情の印象を大きく左右する部位です。数字や期間はあくまで目安であり、自分の口角の状態にどの術式が向いているかは、実際に診察を受けなければ分かりません。複数のクリニックで話を聞き、納得できる説明をしてくれる医師のもとで決めてください。


