「しっかり寝ているのにクマが消えない」「コンシーラーで隠しても夕方には浮いてくる」。目の下のクマは、疲れて見える、老けて見えるという印象に直結するため、悩んでいる方が非常に多い部位です。
ただ、クマ治療でつまずく方の多くは自分のクマがどのタイプなのかを把握しないまま施術を選んでいます。クマは原因によって少なくとも3つのタイプに分かれ、それぞれ有効なアプローチがまったく違います。色素沈着が原因のクマにヒアルロン酸を入れても色は変わりませんし、影が原因のクマにレーザーを当てても影は消えません。
この記事では、美容皮膚科で対応できる範囲に絞って、タイプ別の見分け方と治療の選択肢を整理します。順位付けはしていません。タイプが違えば「良い治療」も変わるためです。

クマは大きく3タイプに分かれる
まずは自分のクマがどれに当てはまるかを確認しましょう。鏡の前でできる簡単なセルフチェックがあります。
| タイプ | 見た目 | 主な原因 | セルフチェック |
|---|---|---|---|
| 青クマ | 青紫っぽい色味 | 目の下の血行不良、皮膚の薄さ | 目尻を軽く横に引くと薄くなる |
| 茶クマ | 茶色っぽい色味 | メラニン色素の沈着、摩擦 | 皮膚を引っ張っても色が変わらない |
| 黒クマ | 影のような暗さ | 眼窩脂肪の突出、皮膚のたるみ、くぼみ | 上を向くと薄くなる、下を向くと濃くなる |
このほかに、眼輪筋が透けて見える赤クマというタイプを挙げる考え方もあります。また実際には複数のタイプが混ざっている複合型が非常に多いのが実情です。セルフチェックはあくまで目安として、最終的には診察で判断してもらってください。
青クマへのアプローチ
青クマは、目の下の皮膚が薄いために、その下を流れる血液の色が透けて見えている状態です。血行が滞るとより暗く見えるため、睡眠不足や冷え、長時間の画面作業で悪化しやすいのが特徴です。
美容皮膚科で行われる主な方法
- 血行促進を目的としたレーザー:肌の温度を上げて循環を促し、コラーゲンの生成をサポートするタイプの照射
- 成長因子や美容成分の注入:目の下の皮膚の厚みや質感にアプローチする方法
- 高周波やマイクロニードル系の施術:皮膚の厚みを出すことで透けにくくする考え方
青クマは生活習慣の影響を受けやすいタイプでもあります。施術だけに頼るのではなく、睡眠時間の確保、目の周りを温める習慣、長時間のスマホ使用を控えるといった対策を組み合わせるよう指導されることが多いです。
目元を温めるという点では、蒸気で温めるホットアイマスクを日常的に使っている方もいます。手軽に取り入れられる方法ですが、施術直後の使用可否は医師に確認してください。
茶クマへのアプローチ
茶クマはメラニン色素が沈着している状態です。目をこする癖、アイメイクの落とし残し、乾燥による摩擦などが積み重なって生じることが多いとされています。
美容皮膚科で行われる主な方法
- 色素に反応するレーザー治療:メラニンに作用する波長のレーザーを照射する方法。複数回の照射を重ねるのが一般的です
- ピーリング:ターンオーバーを促し、色素の排出をサポートする考え方
- 外用薬の処方:ハイドロキノン、トレチノインなど。医師の管理下で使用します
- 内服薬:トラネキサム酸、ビタミンCなどが処方されることがあります
茶クマで大切なのは、治療と並行して原因となっている摩擦をやめることです。ここを変えないまま施術だけを重ねても、色素沈着は繰り返されます。
具体的には、目元をこすらないこと、クレンジングを見直すことが基本になります。ポイントメイク専用のリムーバーを使ってアイメイクを浮かせてから落とす、摩擦の少ない大判のコットンを使う、といった工夫が指導されることがあります。アイメイクを落とすときにゴシゴシこするのが習慣になっている方は、そこが一番の伸びしろかもしれません。
また、紫外線も色素沈着の要因になります。目元にも使える低刺激タイプの日焼け止め(SPF30〜50程度のノンケミカル処方)を毎日使い、UVカット機能のあるサングラスやつばの広い帽子を併用するとよいでしょう。

黒クマへのアプローチ
黒クマは色の問題ではなく凹凸によってできる影です。加齢によって眼窩脂肪が前に出てきたり、その下の部分がくぼんだりすることで段差が生まれ、そこに影が落ちて暗く見えます。
色ではないため、レーザーや美白のアプローチでは変化が出にくいタイプです。段差そのものを目立たなくする方向で考えることになります。
美容皮膚科で行われる主な方法
- ヒアルロン酸注入:くぼんでいる部分に注入して段差をなだらかにし、影を目立ちにくくする方法
- 脂肪注入:自分の脂肪を採取して注入する方法。定着率には個人差があります
- 高周波やHIFUなどの引き締め:たるみが軽度な段階で用いられることがあります
ヒアルロン酸注入は切らずにその日で完了し、変化を確認しやすいのが特徴です。一方で持続期間には限りがあり、維持するには繰り返しの施術が必要になります。
- 皮膚が薄い部位のため、入れすぎると膨らみやしこりとして目立つことがある
- ヒアルロン酸が青白く透けて見える現象(チンダル現象)が起こることがある
- まれではあるものの、血管閉塞という重い合併症が報告されている
- 解剖に精通した医師のもとで受けることが前提になる
クマ治療で名前が挙がるもののうち、国内で薬事承認を受けていないものがあります。たとえばトレチノインは国内で医薬品としての承認がなく、医師の個人輸入や院内製剤という形で用いられています。HIFU(高密度焦点式超音波)の美容用機器も、国内で承認を受けたものは確認されておらず、医師の判断で輸入された未承認機器として使用されているのが実情です。
未承認だから危険という意味ではありませんが、次の点は理解しておいてください。医療広告のルールでは、未承認の医薬品・医療機器を用いる自由診療について、未承認である旨・入手経路・国内に同一のものの承認があるかどうか・諸外国での安全性に関する情報を示すことが求められています。また、健康被害が生じた場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。使用する薬剤名・機器名と承認の有無は、カウンセリングで確認してください。ルールの詳細は厚生労働省の医療広告規制のページで公開されています。
なお、眼窩脂肪の突出が強い場合は、注入だけでは対応が難しく、外科的な処置が検討されることがあります。この判断は診察を受けなければつきません。「注入で何とかなる段階なのか」を見極めてもらうことが、黒クマでは特に重要です。
複合型のクマはどうするか
実際の診察では、青クマと黒クマが混在している、茶クマの下に影もある、といった複合型が非常に多く見られます。この場合、主な原因から順番にアプローチしていくのが一般的な考え方です。
たとえば影が主因で色素沈着も混ざっているなら、まず段差への対応を行い、残った色味に対して照射や外用薬を追加していく、という順序が取られることがあります。一度にすべてを解決しようとするより、段階的に評価しながら進めるほうが、何が効いているのかを判断しやすくなります。
治療期間は数か月単位になることが多く、1回の施術で完結するものではないと理解しておいてください。効果の出方には個人差があります。

クリニックを選ぶときに見たいこと
- タイプの診断があるか:「あなたは青クマと黒クマの混合です」といった説明があるか
- 施術ありきの提案になっていないか:生活習慣やスキンケアの見直しにも触れているか
- 回数と期間の見通し:何回で、どのくらいの期間かかるのかが示されるか
- 費用の総額:1回あたりではなく、想定される回数までの合計で確認する
- リスクの説明:ダウンタイム、内出血、しこりなどの説明があるか
医師の専門性については、日本皮膚科学会や日本形成外科学会のサイトで専門医の情報を確認できます。また、美容医療の契約に関するトラブル相談は増加傾向にあり、国民生活センターが高額なコース契約をめぐる事例などについて注意を呼びかけています。カウンセリング当日に長期コースを契約しないと決めておくだけでも、後悔は減らせます。
施術と並行してできるセルフケア
クマは日常の習慣が結果に影響しやすい部位です。施術に通いながら次の点を見直すと、変化を実感しやすくなります。
- こすらない:クレンジングも洗顔も、目元は圧をかけずに扱う
- 乾燥させない:目元は皮膚が薄く乾きやすいため、保湿を丁寧に行う
- 紫外線を避ける:日焼け止めとサングラスを習慣にする
- 血行を意識する:長時間の画面作業では休憩を挟む、目元を温める
- 睡眠を確保する:特に青クマは睡眠不足の影響を受けやすい
アイテムとしては、セラミド配合の目元用保湿クリーム、摩擦を抑えられるポイントメイクリムーバー、蒸気タイプのホットアイマスクなどが取り入れやすい選択肢です。ただし施術後の使用開始時期は必ず担当医の指示に従ってください。
よくある質問
Q. 市販の目元用クリームだけでクマは変わりますか
保湿によって乾燥由来の小じわや肌のコンディションが整うことはありますが、色素沈着や脂肪の突出といった構造的な原因に対しては限界があります。原因に応じた判断が必要です。
Q. 保険は使えますか
美容目的のクマ治療は自由診療で全額自己負担です。ただし、太田母斑など診断のつく疾患による色素異常の場合は保険適用となることがあります。判断は医師の診察によります。
Q. 何回くらい通う必要がありますか
施術内容とタイプによって異なります。レーザー系は複数回の照射を重ねるものが多く、注入系は1回で変化が出る一方で持続期間に限りがあります。総額と通院期間を最初に確認しておくと計画が立てやすくなります。
Q. ダウンタイムはありますか
レーザー照射では赤みが数日出ることがあり、注入では内出血が1〜2週間残る場合があります。目元は内出血が目立ちやすい部位なので、大事な予定の直前は避けたほうが無難です。
Q. メイクはいつからできますか
施術内容によって異なります。当日から可能なものもあれば、数日空けるよう指示されるものもあります。自己判断せず、担当医の指示に従ってください。
Q. 若いのにクマがあるのはなぜですか
クマは加齢だけが原因ではありません。もともと皮膚が薄い、骨格的に目の下がくぼんでいる、生活習慣による血行不良や摩擦など、年齢と関係のない要因も多くあります。年齢に関わらず、原因の特定から始めてください。
まとめ
クマ治療で最初にやるべきことは、施術を選ぶことではなくタイプを知ることです。青クマは血行と皮膚の薄さ、茶クマは色素沈着、黒クマは影。原因が違えば有効なアプローチも変わり、間違った方向に進めば費用と時間を無駄にしてしまいます。
美容皮膚科では、レーザー、注入、外用薬、内服薬といった選択肢を組み合わせて対応します。ただし複合型が多く、1回で完結するものは少ないため、通院期間と総額を含めた計画を立ててから始めるのが現実的です。
そして忘れずにいたいのが、こすらない・乾燥させない・紫外線を避けるという日々の積み重ねです。施術と生活習慣は両輪だと考えてください。効果の感じ方には個人差があります。まずは診察を受けて、自分のクマが何タイプなのかを確認するところから始めてみてください。


